四次元の透視図法のために透明なガラスと鏡を使うこと
類推推理、つまり四次元の透視図法について。四次元のある物体の、三次元の透視図法的表示は 三次元の目にとって知覚可能であろうが、それは、ある大聖堂の平面透視図法が二次元の平らな目にとって(三次元の目ではなく)知覚可能であるのに似る=二 次元の目にとってのこうした知覚は(距離感覚へ
差し向けられた)移動知覚である=二次元の目は三次元の透視図法については触覚しかもたないであろ う。二次元の目はある点から他の点へ移動し、距離を測らなければならないだろ亨二次元の目は三次元の目のようには概観[全体像]を持つことはないだろう。 類推推理によって、四次元の透視図法に対
する三次元の目の移動知覚を。
「触覚による識別」あるいはある円周の回りを二次元の目が一平面内で移動することと、一視点に固定される二次元の同じ目がこの同じ円周を見ることとの差異。
同様に、「触覚による識別」、つまりある球体の回りを普通の目が三次元の移動をすることと、一視点に固定される同じ目がこの同じ球体を見ること線遠近法[透視図法]との差異。
同様に、四次元の領域には同じ差異が存在する。つまり、四次元には「触覚による識別」と四次元の物体の、三次元での透視図法的視覚的知覚がある。
三次元でのこの透視図法的視覚的知覚は四次元の目によってしか捉えられない。
三 次元の目ではこの透視図法的視覚的知覚をうまく捉えられないだろう(二次元の目では一円周の射影=線[?]しか見えないのと同じように)。三次元の触覚的 識別つまり旋回的移動によって、多くの四次元の物体の想像的再構成が場合によったら可能になろう。そしてこうした再構成が三次元の環境にこ
の透視図法を与えることができるだろう。
[一九一四年九月一四日の日付のついたガス料金請求書の裏に]
2009年3月5日木曜日
四次元の透視図法
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覗き穴と鏡によって三次元を二次元に対応させ、閉じこめることのできる仕掛けについて、透視図法が使うことができる。
伊藤セイコウ氏によると、透視図法を確立したブルネレスキがデュシャンを解く鍵になっているという。
『不実なる鏡』(人文書院)で著者テヴォーが示してくれた図にあるように「フィレンツェの大聖堂の中央扉口から眺められた洗礼堂を、可能なかぎりイ ルージョニスティックな仕方で、厳格に遠近法を適用しながら描き出した小さな板絵」である。女性が左手で持っているのは鏡で、右手に持っているのが板絵 だ。板には小さな穴が開いており、人 はそこから鏡を見る。すると、「板の表側の絵がその鏡に映し出される」のである。
また、十五世紀初頭にアントニオ・マネッティが書いた『ブルネッレスキ伝』(中央公論美術出版)に記録のある装置にある図はアレッサンドロ・パッロンキ教授によって想像復原されたもので、洗礼堂を左右逆に描き、鏡を通してバーチャルなリアリティを追求している。
「大ガラス」においては“向こうが透けて見える鏡”を使うことで、三次元を二次元に対応させ、閉じこめたのだという。