2009年3月2日月曜日

外観と出現


外観と出現
たとえばチョコレート製物体の  外観
出現
(一) この物体の外観とは、この物体についての普通の知覚を可能にするような日常的な感覚データの総体であろう(<心理学概論>を検討すること)。
(二) 物体の出現とは物体の鋳型である
  すなわち、
   (a)(チョコレート製の物体のような空間の物体にとっては)表面への出現があるが、この出現はこの物体の製造に役立つらしい一種の映像=鏡のようなも の、鋳型のようなものである。しかし形のこのような鋳型はそれ自体では物体ではなく、それはn次元のこの物体の主要な点がn-1次元に現われる映像であ る。三次元の外観は、その外観(の形)の鋳型である二次元の出現から生じる。
  (b)鋳型のもう一つの部分として[─?]、天然の色での出現がある。
   天然の色は色ではない(外部からくる何かしらの照明の、青、赤としての反射という意味で)。それらは、光学活性の色を生み出す光源である─すなわち天然 なチョコレート表面は、一種のチョコレート燐光からできることになるだろうし、この燐光がこのチョコレート製物体の鋳型としての出現を完全なものにする─
したがって、一方では天然の色、チョコレート色をした二次元の形は、鋳型でなければならないようであり、[他方]でチョコレート製の三次元の物体を生み出さねばならないようである。
天然の色が出現するとき、現実の色を規定するのだが、この現実の色は外部照明が自然な染色によって外観へ光をあてるために変化する。
天然の色は一般にマチエールに関係する。あらゆるチョコレートを規定するのに役立つ唯一の天然の色、チョコレート色が存在する。

説明すること
出現
否定
 
物理的外観(色、量、形) において考察される物体が与えられたとする。この物体の鋳型を定義すること(図形的に、つまり絵画的慣習によって)。
鋳 型が意味するのは、形と色から見れば、(写真の)ネガであり、塊から見れば、光の要素から構成される一つの面(基本的な平行関係によって物体の形を生み出 すもの) である。(強度の等しいこの光は、色=源(ただし、物体の外部の光源に従属する色ではない色)の差異によって表現される[閉じ括弧なし]。
た とえば、チョコレート製の物体の鋳型は、いくつかの色をもつ面のネガ的出現である(ここでいう色は、典型的なこうした物体[客体]・主体を含むような空間 内でのこの物体の位置によって慣習的に(透視図法的にたとえば三次元空間によって)規定される色のことである)が、この面の方は、
(一) この物体の色つきの形を、
(二)  光の諸要素、言い換えれば決定的役割を果たす一種自然な染色 としてのチョコレートの諸要素からなる塊を生み出す。ここで決定的役割を果たすとは、出現 (鋳型)から外観(チョコレート製の物体)への移行において、チョコレートの色とチョコレートの塊が異なる照明であらゆる視覚的変換を被るからである。

一。 物体は発光している。光源。物体の本体は光る分子から構成され、照明を当てられた諸物体のマチエールの源としてのマチエールになる(たとえば、光を発する チョコレートは、五感によって監視される物理的存在を持つチョコレート・不透明なマチエールレの原子的鋳型である─[閉じ括弧なし]

光を発する物体は一つの出現である。

デュシャンは、ルーアンにて蒸気機関で動くチョコレート粉砕器を見て〈独身者の機械〉の構想を得たとされています。

デュシャンは何の変哲もないお菓子の製造機械に独身者の欲望を発生させるという隠喩的な意味を与え、独身者の機械、「チョコレート粉砕器」とします。

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